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「そんなっ!!」 まったく・・・・貴重な時間を無駄にしてしまった・・・どうでもいいといえばどうでもいいがそれでもやっぱりちょっとばかり気にしてしまうのは人であることの性であろうかと考えてしまう。まったく・・・・疲れる毎日だ。 「ウザいといえばさ、新くん。頭悪いくせに偉そうにしゃべるやつってウザいよねー」 「うむ、ウザい。特にお前が」 「ひどいよっ!!俺のどこがウザいって言うのさっ!!」 「存在というか・・・すべて?爪の垢から産毛の先までウザい」 「また妙な表現をするね・・・・・・って感心してる場合違うしっ!!」 「まぁそろそろ授業というやつだ。頭悪い子はちゃんと受けたほうがいいぞ?それに・・・」 「俺は頭悪くないもんっ!!」 いやどう見てもその受け答えは駄々っ子だが・・・。というか人がしゃべってる最中に割り込むとはいい度胸だ。人が珍しく一割の親切心と九割の悪戯心で忠告してやろうとしたのに。まぁ・・・どっちでも面白いからいいんだけどね。面白ければすべてよし。これ最上也っ! 「聞いてるのー?新く~ん?殴るよ~?怒っちゃやーよ?」 「新は怒らんが私が怒る・・・というのはどうだ」 何気に橘楓の後ろに接近している橘遼・・・それを注意してやろうと思ったのにわざわざさえぎるから・・・とはいえ話しかけて言い終わったころにはもう逃れようのない距離だったと思うがね・・・。われながら極悪人じゃ。 「ひっ・・・・ひっ・・・・・・・・・・ふぅ~・・・・」 「取り合えずどっかに突っ込もうと思うんだが・・・・どれに突っ込むべきだと思う?新よぅ?」 「僕的には”存在がウザいっ”って突っ込みたいですけど今回はとりあえず抑えてさりげなく後頭部にブロウで突っ込むのはどうでしょう?」 「それに乗った」 「へ?」 「おっ楓!すまん!手が猛烈な速さで滑った!よけるとさらに危ないぞ?」 ゴスッ はっきりいって・・・ゲームとかなら赤い三角形のシールが張られているようなシーンだった・・・飛び散る血と笑う橘・・・ってか殴ったほうも殴られたほうも笑ってるの怖いって、マジで! 「まぁ冗談はともかくとして」 背景にぴくぴくと痙攣する橘楓が見えるのが気になるがそんな僕の視界の中で橘遼はあっさり言う。 「今日の授業は自習だ。とりあえずこの生ごみ捨ててこい」 ・・・さすがにそれは不憫だと思うけど・・・反論するともっとひどい目にあいそうなのでやめておくのが吉ですか? 「新く~ん・・・・後で話があるのぅ~・・・・放課後に生きてたら会いましょう・・・ごふっ」 教室の床で吐血してるやつがいるってのも新鮮かもしれん・・・まぁ吐血する役はごめんだけど。 そんなこんなで今日の授業も終わる・・・自習が妙に多くてなんだか勉強してる気がしないがきっと気にしちゃだめなんだろう・・・・きっとそうに違いない、と自分を納得させると橘楓との待ち合わせ場所に行くことにした。ちなみに橘楓は昼食の時間の時には復活していた。妙にタフだ。だが昼食も二人でとったわけだがどうしてそのときに話したいことを話してしまわなかったのだろうか・・・・違和感というより疑惑が残る。そんなこんなで待ち合わせ場所である屋上に着いた。僕は適当にぶらぶらしながら来たからきっと橘はもう着いていることだろう。まぁ・・・遅れたのはあいつを待たせるためであるから僕の思惑通りといってしまえばそれまでなのだが。 「暇人参上~♪」 適当なことを言いながら屋上のドアを開ける。目の前には橘楓しかいない。これといって特筆すべき情景はない。一人対一人・・・考えなくもなかったが・・・まさか因縁の果し合いをするのだろうか? 「遅いよ・・・新くん・・・」 ポツリポツリと呟く様に声を出す橘楓。 「あ・・・あのねっ?新くんに聞いてもらいたいことがあるんだ・・・それは・・・」 「まぁまて、そういうこと(果し合い)ならマネージャーを通してもらおうか」 「えっそんな!?俺はどうすればいいの?」 「とりあえず七番窓口で用紙をもらって五番窓口で面会のアポイントメントを取って・・・」 延々と二十分以上話し続ける自分・・・しかもネタを考えながら話しているから言ってることがどんどん危うくなってくる。 「・・・・そうしてやっと果し合いの場が設けられるわけだ、わかったか?じゃぁ僕はもう帰るぞ?」 「うん、わかった・・・そんなに手続きが必要だったんだね・・・じゃぁまずは七番へ・・・でうんと・・・・どこだっけ・・・でもまぁ、これを終えたら新くんと果し合い・・・果し合いぃぃぃぃぃぃいいいい!!!!??????」 「でかい声を出すなよ・・・恥ずかしいなぁもぅ」 「って新くん俺果し合いなんてしないよっ!?何勘違いしてるんだよっ」 どうやら違ったらしい・・・せっかく二十分以上の演説で時間を稼いだのにそれが無駄になったわけだ。これは鉄拳制裁を加えるべきではないだろうか、いや加えるべきだ!! 「というわけで殴るぞ?拒否権はない」 「ひどっ」 そうして軽く拳をぶつけ少しだけ赤くなった拳をさすりながら訊く。 「で、何のようだ」 「どうしてこんなに話が長くなったのかがわからないよ・・・・。とりあえず話を聞いてもらうよ」 「だから話せって」 とりあえず数発拳を打ち込んだところでようやく落ち着いた橘楓が話し出す。 「あのね・・・新くん・・・この世ってあるのかな?」 「とりあえず精神科をお勧めする、じゃな」 「違うよっちゃんと聞いて!!」 「なら早く要約して話せ・・・回りくどいのはなしだ」 そういうと橘楓はちょっと考えるような仕草をして改めて口を開く 「新くん・・・昨日の朝・・・・登校中って覚えてる?」 「覚えてるとも」 「俺と会った?」 「会ってない」 事実会ってない・・・記憶の中で昨日橘楓と初めて顔をあわせたのは朝といっても教室でだ。 「僕は昨日お前と教室で初めて会った・・・ちがうか?」 「うん・・・・昨日・・・の記憶はそうなってるね・・・でも実際昨日に起きたことは違うんだよ・・・・俺と新くんは昨日も一昨日も・・・その前もずっと・・・朝に会ってるよ」 「意味不明なことを言うな・・・わけがわからん」 いくらなんでも意味がわからない。 「俺が言いたいのは!俺たちの記憶と実際の行動が食い違ってるってことだよ!」 「・・・どういうことだ?」 初めて出たまともな・・・・というより理知的ともいえる言葉にいくらか安心し、その言葉の内容を理解するとともにそれを訝しげに感じながら僕は聞き返した。 「たぶん、俺の考えが正しければ・・・明日になればわかるよ。そうだね・・・今日、冷蔵庫の中のものを使った?」 「いや・・・・この後使うつもりだが・・・」 「それでいいから使ったものを良く覚えておいて・・・もしそれで明日の朝に気づいたことがあるなら・・・俺に会いに来て。そしたらどうなってるのかきっと・・・新くんも理解できるはずだから・・・」 そこまで寂しげに呟くと橘楓は屋上の階段へ向かっていった。 「正直・・・何が言いたいのか理解できんしお前が狂ったのかとも思ったが・・・お前を信じたい気持ちは僕の中に確かにある。だったら一度くらいお前に騙されてやることもできるさ」 僕は橘楓の背中に向かってそう言った。 「新くんもそろそろ帰るといいよ」 さすがに放課後すでに物好きな生徒しか残っていない時間帯だ。 「じゃぁ帰るか・・・」 僕は軽く独り言を呟くと家に向かって帰っていった。 そういうわけで家に到着した。何事もなく家に到着したがゆえにあっという間に家に到着したような気がしないでもない様な気分だったりする。 「今日の夕食は・・・・」 冷蔵庫に肉と大根があった。 「この二つがある時点でもう決まったも同然だな。 というわけで肉を焼き大根おろしを添える。 同時に炊いていた米を茶碗に盛り夕食完成。 放課後の会話が響いていて多少疲れたためにサラダなどの野菜が少ない食事になってしまった感がいなめない。 「そういえば冷蔵庫が何とかといってたな・・・・」 と独り言を呟きながら冷蔵庫を調べる。 中にあったのは・・・・特にない。空っぽの冷蔵庫。一人暮らしの冷蔵庫なんてたまの買い物でいっぱいになるとき以外ほとんど何も入ってないと思う・・・となんとなくいいわけじみたことを考えながら冷蔵庫を閉め夕食を食べることにする。 「肉は塩コショウとたれで・・・・でも普通に考えて塩分多いよねー」 と独り言を言いながら食べる。一人暮らしだと独り言が多くなるという統計データでもないだろうか・・・そうであれば自分の独り言の多さが正当化できるのに・・・とそんなことを考えつつ食事終了。 そんなに食器を使ってないのでそのまま洗ってしまうことにする。 ご飯茶碗は水につけておくと綺麗に取れる。 他にすることはもうない。これは寝るしかあるまいて。 そして寝る新太郎。 [ つづく] |
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