[home] ONLINE BREAKER > MORE > 小説 > 新太郎と愉快な仲間たち > 第六回更新分 [mirror]

「では・・・・・・お休み~」

寝言にしてはしっかりしています。しかしながら仕草は確実に寝ている人のものです。・・・新太郎はそういう人物なのでしょう。ではお休み新太郎。

 

 

朝起きる・・・・・朝か・・・・朝起きて一番最初にすることはなんだろうな。僕の場合は何だ・・・?とりあえず・・・・・朝、朝とばっかり考えていると朝という言葉に疑問を持つようになってしまう。そして最終的に朝という言葉を含む言語全体を考えることになる。・・・朝から考えるには内容が重過ぎる。下らない。そもそも僕はこの頭の中で考えていることもこの言語というもので構成している。速読のできる人はものを読むとき・・・・文字を見てそれを頭の中で音読するのではなくその意味を思い浮かべるとか何とか。

僕にはできないな・・・・。というか朝か。朝の挨拶は・・・・

「ぐっもーにん・・・・・自分」

とりあえずしておこう。とりあえず確認・・・・自分の名前・・・・新太郎。ふむ。今日も記憶喪失とか面白い現象に遭遇はできなかったようだ。・・・・つまらん。この世の中はつまらなすぎる。もっと楽しいことはないのか!!というか食事の準備の途中だった。

「今日は何があるかな~・・・・冷蔵庫にはガーリックマーガリン!!これをパンに塗って焼くべし焼くべし!!」

ガーリック・・・・にんにくか・・・・朝からヘビーだ。そういう時は緑茶を飲もう・・・・というわけで湯を沸かす。

「やかんはどこだ~!!ここだ~!!」

朝から声を出すと疲れる・・・・。だからといって声を出さずに行動するのはどうにもストレスがたまる。・・・・というか僕が声を出して行動してしまうのは無意識というやつだ。無意識を制御できる人間はいない・・・・。制御できないからそれは、無・・・意識なのだろう。だが意識である以上ほかのもので上塗りできないこともない・・・・。ふむ。今日の僕の頭はいつにも増して哲学的・・・・哲学というのは嫌いなんだがな。まぁ・・・実際に考えていることが正確であるという保証もないしな・・・。

「・・・・冷蔵庫にほかの食べ物はなし~・・・・というかガーリックがくせぇよ!!」

ガーリックマーガリンを食パンに塗って焼くととてつもないにんにく臭が広がる・・・・服に移ったらいやだよ・・・・・。なら食うなって話だ。しかしながら昨日は米を炊いていない。料理もしていない。すぐさま食えるのはパンくらいだ。

「あ~・・・・・予約機能使って米を炊いておけばよかったな~」

しかしながらこの機能を使うとなぜかは知らないが米がまずくなる。そもそもここの水は僕には合わない・・・・この水で炊いた米はもともとそんなにおいしく感じられない。

「・・・・って言うか今何時だ?」

口でそういうことを言いながら先ほど考えていたことの続きを考える。水がまずい理由というのはいくつかあるだろう。だが大きく見れば一つだ。もともとの川の水質というやつだ。これが悪いと飲み水に適した水にするために塩素殺菌を多量にしなければならない・・・そのために水質が悪い水は塩素臭・・・カルキ臭い水になるのである。また水には硬度というやつがある。これは水に溶けているミネラル等によって決まるものだ・・・と思う。コンビニ等で売っているミネラル水というやつはミネラル等が豊富に含まれてるので硬水にあたるだろう・・・まぁ素人的な考えではあるが。この硬水というやつは消化に悪い。総じてミネラルというやつは消化に悪いものだ。故に・・・・胃腸の弱い人や飲みなれていない人がこれを飲むと一気に腹を壊す。下痢だ。・・・・食事時に考えることじゃないな。どうでもいいが。別に他人と話しているわけではない。ならばよしと考えるのが自分の思考回路だと僕は自分で自分をそう設定している。僕の癖のようなものだな・・・・自分で自分を設定したがるのは。さて・・・考え事とはいえ脱線すると戻るのが大変だ。何を考えていたか・・・・そう・・・硬水か。この飲み水に適さない水は米を炊くのにも適さない。米を炊くという行為は実際の反応・・・というか変化はまぁ大体こんなものだあろう。米と水・・・これに熱を加え、米の中のでんぷんを消化しやすいものに変化させるとともに米の内部に水分を吸収させふっくらさせる。でんぷんがアルファとベータどっちが消化しやすいのかは忘れてしまった。・・・・ここで問題になるのは水を吸収させるということである。水を吸収させるが米というものは人間の目に見えるほどスポンジ状の構造をしているわけではない。米に水が吸収される原理は知らないが浸透圧も多少は関係しているだろうし、熱を加えているということは水分が蒸発するということであり・・・要は濃くなる。まぁミネラル水で米を炊いてもおいしくはならない。その事実を知っていることが大切なわけでそれがなぜかというのを考えるのは自分じゃなくていい。というか考えている暇があるのなら調べろという話だ。昔の言葉に何かあった気がするがそれを思い出すのにはその昔の言葉というのが載った本を探し出さなければならないだろう。・・・・そもそも今僕は時間を調べねばならないのではなかったか。いくら数秒とはいえ考え事で自分の行動目標を忘れてしまうとは。

「ん~・・・・・・七時三十分・・・・びみょ~」

微妙だからなんだというのだろう。むしろ自分は微妙という言葉でいろいろとごまかしている気がする。僕にとって微妙という言葉はとても都合のいいものだろう。たとえば今はこうやって考えている・・・・遅刻が確定するかどうかを見極めている振りをして時間を稼いでいる、観客などいないのに。我ながら自意識過剰なのであろう。・・・・自分は・・・・自分にはひどく歪んでいるように思える。しかしながら本当は歪んでなどいないのかもしれない。自分は歪んでいると思い込んでいるただの人間なのではないか。自分はどんなときでも正気を失わないという自信とともに自分の想像以上・・・をさらに越える何かに遭遇すればその自信は崩れ去るという自信がある。どうしようもない矛盾。想像以上というものも一種の想像の一部であると僕は考える。想像を超えるものなんてのは実際この世にはないのかもしれない・・・とも考える。そうやって・・・・自分について考えていると、人間・・・いや生物が生きるということが不思議に思えてくる。生きるとはどういうこと?その定義ではなく具体的にどういうことなのかが知りたい。・・・・今、自分が生きているのかどうか。それを証明する方法なんてない。自分が生きているなんてどうして信じられよう?痛みや感情・・・・そのすべてが電気信号ならば、人間という器でなくてもよいのではないか?そもそも生きているとは何だ?・・・死体と生体その肉体に違いなんてない。細胞が死んでいるとかそんなのは違いとはいわない。それを違いと認めるとずべての細胞が生きていることが生きるということになる。生物が細胞単位で生きている。・・・・それも面白いかもしれない。生物・・・・多細胞生物はいくつもの細胞の群体であるという考えが自分の中にないとはいえない。ならば自分の意思というものは何なのだろう。意思・・・いや意識か。僕の中では意思は意識により生み出されるものだ。そして・・・・人間に意識があること・・・いや他人に意識があることか。それを証明することなんてできない。そもそも証明とは何だ?言葉による・・・机上のごまかしではないのか?空論・・・・というより理論というものすべてがごまかしだと僕には思える。いくつものごまかし・・・・何をごまかすのか。当然自分だ。自分で納得できるように人間というものはいくつものごまかしを考え付いた。そうとしか考えられない。まったく人間というものは理解できないよ・・・。理解といえば。よく自分のことがわかるのは自分だけという。それも根拠がない。どうして?と聞いたら自分だからと答えるだろう。それが理由として・・・絶対的な理由として認められるのなら・・・・。

「あ~・・・・どうしようかな」

頭で考えているのとは違う言葉が口から出る。僕の頭と口は別々のものが司ってる・・・・そんな気がするほどに僕はよく考え事をする。考え事がどんどん加速すると一瞬のうちに解答を見出すことがある。それは一瞬の思考。この世のすべてがわかるという大きな矛盾をはらんだ答え。すべてを理解した気になり・・・・次の瞬間に霧散する。もう一度そこに到達しようとしても・・・・道筋がないから到達できない。物事を思い出すのと同じで僕は順番に考えていかなければ思考できない。それと同じで数字は一からしか数えられない。どうでもいいことだけれど。・・・僕の人生のすべてはどうでもいいことだらけでできている。たとえば朝起きること・・・どうでもいい。朝食べること・・・どうでもいい。学校へ行くこと・・・どうでもいい。橘楓に会うこと・・・・・・どうでもいい。ほんと、すべてどうでもいい。どうしてこうなったんだろう。自問自答してみる。本当は・・・自問自答するまでもない。疑問が浮かんだ時点で答えは浮かぶ。これまで幾度となく繰り返してきたことだ。・・・・いつまでも考えてばかりいると頭が疲れる。疲れたからといってどうってことはないが。僕は基本的・・・・いや原則的に精神が肉体よりも上位に位置している。どこぞのモンスターとか魔道師とかそんなやつらがそういうことをいっていそうだが。少なくとも僕は気合さえあればどこまでも移動できる・・・・歩いていけると考えている。精神が肉体よりも上位にあるとは精神しだいで肉体の性能を変えてしまえるということ・・・・そう考えると誰でもそうなのではないか。しかしながら人類には他人の思考を読むことはできない。故に人は人を信じられない。心が読めたからといって人を信じられるとは思わないが。

「じってんしゃ~のりましょっう~

我ながら無駄に開き直ってる。そこまで開き直れるのならばまったく・・・・学校を休むことにも開き直れるだろうに。実際問題学校に間に合うかどうかは物理的な問題だ。物理というものをしんようはしてないが・・・・な。

「今日も自転車は好調!!いぇいぇぇいぇいぇいぇい・・・・・」

・・・・誰か自分のこの無駄な独り言を聞いてたらやだな。だったらしゃべるなという話で。しかしながらしゃべらないということができているのなら今しゃべっていないわけだ。

「はぁ~・・・・今日は~普通に間に合いそう~ガーリックトーストのおかげだな!!」

ガーリックトースト・・・・あれはなんにせよ強烈で。塗りすぎるとなぜか辛い。そして部屋中ににんにくのにおいが広がる・・・・。初めて食べたときは鼻の調子が悪くなって何時間かちょっとテンションが低くなったものだ。

「ハレルヤ~・・・・違うな。ハ~レルヤ

・・・・・いやまぁそっちが正しいとは思うけど。まぁどうでもいい。またでた。どうでもいい。ほんとに自分はどうでもいいと思っているんだろうか・・・・。でもやっぱりどうでもいいんだろう・・・そのことも。

「でも放浪カモメは~・・・・って何でカモメやねん」

・・・唐突なように見えて人間地うものには原因というものがあると僕は信じてる。だからといってそれを人に主張したりはしないが。それを主張すれば・・・・自分の唐突な行動の理由を聞かれたときにちゃんと説明しなければいけなくなるかもしれないからだ。後のことを考えて・・・というよりは説明が面倒だからというのが僕の本音だろう。

「はぁ~・・・・・なんかため息出るな~。なんかあったかなぁ~?むぅ~昨日~?」

本当に何かあっただろうか?おもわず一分ほど考えてしまった。今日起きてから一番長くひとつのことについて考えてしまったようだ。どうでもいいことだが。

「思い出せる範囲には~・・・・範囲?・・・いや引っかかったのはそっちじゃなくってかあれは何ですか!?花畑ですか!?」

ゆったりと・・・・たまに考え事をしながら学校に行く途中、目の前・・・というよりはかなたに広がる無駄な花畑。まぁこんなものを用意するのはやつに決まっている。どうでもいいことだが。やつはいったいどういうつもりなんだろうな?・・・・・先に断ったとおりどうでもいいことだが。

「はろ~新くん・・・今日もいい天気だねぇ~?」

「いや・・・そんなことはないが」

橘楓が現れた!!どうしますか・・・・というコマンドが出てきたらどれだけ楽だろうか。どうでもいいことだが。こいつの相手は疲れる。いろいろな意味で。

「いつもだったらお前・・・花畑で寝てそうだがな?」

「ふっふっふ・・・君への愛ゆえに!!俺は寝ない!!寝ない!!ねな!!」

「・・・・最後なんか間違えてねぇ?」

「そんなことありゃしませんぜ旦那!!この俺が寝るなんてことはこの世界にとってあっちゃいけないことだべ!!」

「・・・・・だべって・・・・徹夜明けの修羅場モード?」

「いぃぃぃぃぃいいいいいぃいIIIIIIIIIぃぃぃいいいいいいえええええぇぇぇぇええぇえぇええええEEEEEEEEえっっっっっっっさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああAAAAAAAA!!」

・・・・とりあえずこいつとの会話は不毛だ。なら会話するなよという話だ。・・・・してしまったものは仕方がないじゃない?・・・・まったく誰に話しかけてるんだか。どうでもいいけど。

「とりあえず寝ろ。うざい」

「無理っす~!!」

なんでだよっ!!・・・と突っ込みたかったがどうせこいつのことだ、理由なんてないって答えるに違いない。・・・・・僕の中の考え・・・理論?そういったものに則するならば、その言葉は偽りであろうが。まぁそれも・・・・どうでもいいことだ。

「で・・・だ。お前は学校には行かんのか」

「いっきますっよぉぉぉぉ・・・・・・・ガクリ」

「いや、力尽きてどうする」

「えっとぉ~・・・・力尽きてぇ~・・・・存する」

「いやまぁ・・・・とりあえずつっこまんぞ?僕はつっこまんぞ?」

「ふふふん・・・俺は間違ったことをいってないぜぃ!!すごいぞ俺!!というわけで学校いくべ~」

・・・・まったくどうやったらそういう思考になるのかがわからない。アイモカワラズ謎な奴だ。だが・・・どうして嫌いにならないんだろうな。まったく・・・自問自答というのは得てして先に答えがあるものだ。少なくとも僕にとっては。こいつのことを僕が嫌いにならない理由なんてひとつしかないだろう・・・なぁ新太郎さんよ・・・。まったく・・・・自分は人嫌いで人間不信だと思ってたがねぇ。いや・・・・人間は信じられないが・・・というより人間が信じられないというより物が存在するということが信じられないのだろうな。きっと誰も証明できない・・・・物理というものへの反感・・・いや、不信感か。何ゆえに僕らが生きているのか・・・僕という存在が存在するその原因は何だろう・・・・。寝る前に一度ならず何度も考えてしまう・・・答えの出ない自問自答。くっ・・・本当にそうだ。自問自答というのは答えを先に知っていてするものだ。・・・・答えは出ないのではなく・・・おそらくないんだろう。少なくとも僕の中には。それが僕のこの自問自答の答え。知らない・・・わからないという答えで僕は満足できず・・・いつも考える。・・・・くだらない。意味のないことを考えるほど僕には余裕があるのか・・・?知ったことか!僕はそんなことどうでもいいんだ!本当はただ自分を信じたいだけ・・・・なんてな。・・・・自分の中での思考で言い訳したりするのはかなり意味がない行為だというのはわかっている。それでもしてしまう。自分の思考が読まれているんじゃないかと考えてしまったりする・・・・本当にくだらない。僕の信用していない物理というものによれば・・・思考は電気信号で・・・自分のこの脳の中で完結していて他の人間という個体に届くことはないというのに。本当に僕は物理というものを信用できないんだな・・・。さっきからとりとめもないことを考えすぎた。最初から考え直したくなってくる。・・・・しかたあるまい・・・で、だ・・・最初は何だっけな・・・。・・・・この横にいる馬鹿の話だったか。ふん・・・・まさしく天邪鬼というのは僕のような奴を言うのだろうな・・・。考えていることですら嘘をつく・・・・自分自身に。誰にも聞かれていないという保証はない・・・けれどもあえて本音を言うとするなら・・・・僕はこいつのことを認めているのだろう。こいつは・・・・橘楓は僕がおそらく生まれて初めて認めた・・・人間だ・・・・。周囲の大人なんかより遥かに知性的で・・・僕が追いつけないほどの天才・・・天から才能というものを与えられたほんの一握りの人間。僕にはないものを持った人間。僕が一番認めていて・・・・おそらく一番憎んでもいる人物。力を見せ付けられたときには・・・やはり悔しい・・・それを繰り返したがゆえの憎しみ・・・追いつけない・・・その怖さもたぶんに含まれている。一生友人でいて欲しいのにこいつはそんなことも気にせず先に進んでしまうのだろう。それこそ僕が欲しいと昔から願っている強さだ。こういう強さを持った人物に僕は憧れ・・・憎悪する。この世の一番でありたいがために。自分が一番になるなどということは絶対にありえないだろうというのに。

「新くん・・・?何か考えてる?」

「・・・・まぁ人間というものは得てして何かを考えているものだよ。たとえば空はなぜ蒼いのか・・・・何てな?」

「むぅ・・・しゃべり方がいつもとちょっと違う気がするよ?」

「ふん・・・・大してうまくもないお前の真似だ。自分の口調で話しかけられるとは思ってなかったか?」

「え・・・・俺ってそんなん?」

「だな」

「が~ん・・・」

・・・・実際にが~んというのは微妙にレトロだ。こいつは本当に謎で・・・理解できない。だけど認めている・・・いや理解できないからこそ認めているのか・・・どうでもいい。どうであろうとそれは僕の心のうちにあること。こいつに言うことでもないし外に表すものでもない。僕はただ・・・適当に人付き合いをして生きていくだけ。ただこの人生に・・・ほんのちょっとのスパイス・・・愉快さがあればと願う。我が人生に・・・幸あれ。

「ほらほら学校だよぉ~」

「っていうかお前のしゃべり方は微妙だ」

「新くんつっこみが強烈だよ~」

「というか・・・お前今日はやけにゆったりしたしゃべり方だな」

「ん~・・・・寝起きというか・・・寝不足というか・・・こう暖かい日差しがあるとなんかその・・・オーラ?そういうのに包まれて眠くなってくる気がしない?」

「・・・・まぁしないこともない」

「ん、ん~・・・・・うがっ・・・背伸びしたら背骨がなったよ・・・・とりあえず今日の研究テーマは日差しとオーラの関係だな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オーラを実在のものとして捉えるというのが斬新な発想だな。斬新過ぎてむしろものすごく古く思えてくるよ。きっとその答えは神がいるとかそんなものだよ」

「神か~・・・・会ってみたいね~・・・会って・・・・捕らえたい」

「・・・・・まぁ夢見るだけにしておけ。というか僕はお前のことを・・・というかお前の習性を解ってるつもりだからいいけど・・・普通の人の前でそういう発言はよせよ?」

「どうして?」

・・・・・素で聞き返してくるのが恐ろしい。こいつは自分がどういう存在なのかがまったくわかっていない。神というものがいるのなら聞いてみたいね・・・・なぜこいつと僕をあわせたのかと。なぜ僕に・・・・外面だけの偽りの優しさと憎しみを与えたのかと。

「やっと学校だよ~・・・ってさっきも言わなかった?」

・・・・思考を中断させるあいつの声。狙ってるのか狙ってないのか。まぁ何にせよあいつの声で僕がこの世を呪うのを中断したことには変わりない。素直に感謝するのが吉。

「自転車を置いてくる。先に逝けっ!!」

「・・・・・なんか不穏な響きの言葉を聴いた気がする」

気のせいだろ・・・と心の中で断っておく。まぁ心の中での変換は逝けなわけだが。さて今日もくだらない奴らとのくだらない毎日・・・いや学校生活か。それをはじめるとしようかな。・・・・ほんとにたまには僕を腹の底から笑わせるような出来事を用意して欲しいものだね。そういうことをどこにいるのかわからない神に切に願うよ。

「ハロー諸君」

「やかましい」

・・・・・教室に入って一言目にこれはひどいと思うのは僕だけではないはずだ。

「何かあったのか?」

答えたのは菊川流。

「・・・・先生が休みらしい」

それは珍しい。天変地異の前触れだな・・・・というか菊川もショックを受けてるのかしゃべり方が普通になってるしっ!!

「・・・・そんなしゃべり方できたんだ」

「しまったっ!!つい好敵手がいないから十年以上続けてきたポリシーを失った!!」

「・・・・すげー忍耐力だな」

「ふっ・・・・俺には菊川流があるからな」

「っていうか菊川流って何」

「俺も詳しくは知らん!!」

「そんなバカな!!」

「嘘だっ!!」

思いっきり脱力していいのだろうか・・・・というかこいつのことはあらかた理解していたつもりだったが・・・・化けの皮がはがれたとでも言うべきなんだろうか・・・まぁこいつはもともと要注意人物として認識していたからまだいいな・・・・。というかほんとに菊川流ってなんですか・・・・。というか漢字にするとお前と同じやん。

「・・・・・新太郎よ」

どこまでも取り留めなく続くかと思われた物思いをさえぎる菊川流の声。

「何だ?」

「とりあえずまぁなんだ・・・・これでお前とも本音で語り合える友人となったわけか」

「・・・・・も?」

「応ともさ!!」

「他に誰が?」

「えっと・・・・・さしあたってクラスメート全員と・・・・」

「ぇ・・・・・僕が最後っすか・・・・僕が一番下っ端か・・・戦闘員ならキキーとか奇声をあげてやられなければならないのか・・・・仕方ない・・・今日の放課後から練習だな」

「・・・・・そこまで思いつめられるとちょっと俺も責任を感じるからやめてくれ」

いやまぁ言葉に出すだけでまぁそこまでダメージは受けてないと思うがね?・・・・それでもちょっと痛かったかな~なんて・・・考えてみたり。はぁ・・・まったく・・・今日はちょっと愉快な日になりそうだよ。

「で、だ。結局菊川流ってナンナンデスカ?」

「・・・・いたのか橘」

「ひっひどいよ新くん!!ずっと隣にいたじゃないか!!さすがの俺も怒るよっ!!」

「っていうかずっと思ってたけどお前の一人称っていうの違和感あるからやめろ」

「えぇ~なんでぇ~?こっちの方が強そうじゃない?」

「何で強さを求めるよ・・・・・謎すぎるぞ」

「いやいや・・・・はっはっは・・・・」

「照れるなよ・・・・褒めてないし」

「詐欺だ~~!!」

「そんなわけあるか!!むしろこっちが詐欺だっ!!」

・・・・・こいつとの会話は疲れる・・・・早めに切り上げて終わらせるが吉・・・・かな?

「で、遼さんは無事なのか?」

「え?知らないよ?」

「何でだよ!!同居してんじゃないのか?」

「だって昨日は路上で徹夜だったし」

・・・・・そういえばそうだった・・・。こいつはひとつのことに熱中するとどこまでもそれに集中してしまうというもう一種の奇病としか思えないほどの執着を見せるんだった・・・。

「まったく役にたたん・・・・おわっ」

地震発生・・・まぁ震度は多少家具が揺れる程度・・・被害はほとんどないだろう。

「ちっ・・・・」

ん・・・・橘楓が舌打ちとは・・・珍しいこともあるもんだ。

「今の地震がどうにかしたのか?」

「ん~特にはないよ。うん、きっと大丈夫。たぶんちょっと断層がずれただけだよ」

いやいや断層がずれるって・・・・結構危ないと思うが。

「大丈夫なのか?」

「どうだろうね。俺は専門家じゃないから詳しいことは解らないけど・・・。そもそも地震のメカニズムを語る前に地震というものについてよく知るべきだと思うね」

「たとえばどんなことを?」

「まぁ発生原因とか・・・避難方法とかだね」

「ふむ・・・・発生原因ってのはどんなのがある?」

「そうだね・・・さっきいったような断層、火山の噴火、地盤の崩落だとか・・・いろいろあるよ。まぁ共通してるのは振動を起こす・・・それだけだね」

「ふぅん・・・・ていうか断層というのが地震につながるというのがよくわからんな、正直」

「そうかい?簡単な説明なら今するけど・・・・まぁ大して詳しく知ってるわけじゃないから概要になっちゃうし理解できない人には理解できない話になっちゃうけどそれでいいなら」

「・・・・頼む」

「断層っていうのはね・・・う~んと・・・そうだね・・・大地が分断されてるって考えてくれるかな。でね、過去の研究により大地は移動するものということがわかってるわけだけどそれがどういう風に影響するかというと・・・まぁ分断されてる状態で移動すればどうなるって話だよね。基本的に断層はそこに圧力が集中するためにずれるものなんだけど・・・う~んなんていうのかな・・・・これについてはプレートのほうが解りやすいかな」

「プレート?」

「あれだよ・・・・大陸の下にあったりする岩盤とかそんな感じのやつ。あれが移動するから大地は移動するわけだけど。ふむ、あれが移動するということはどこかで消えていく場所と生まれていく場所があるということだよね。生まれる場所は海嶺、消える場所は海溝・・・あるいは山脈かな。山脈は消えたりしないけどね。でね、問題はこの海溝とかそこらなんだよ。要はプレートのつなぎ目。プレートはひとつじゃないからいくつもパズルのピースみたいになって連なってるわけだけど・・・・プレートのつなぎ目ってのは三つあるんだよ。さっき言った海嶺、そして海溝をはじめとする場所・・・そして巨大な断層」

「断層?」

「そう。プレートのつなぎ目はこの三つ。プレートのつなぎ目が海嶺と海溝だけなら楽なんだけどね」

「む・・・・その断層はどういう場所にあるもの?よくわからんのだが」

「図で書くと簡単だけどね。ん~っと・・・・ずれる場所だ。動く向きが違うとそういう場所が生まれるでしょ?そういうところは圧力が集中して・・・いや応力かな?それが集中しちゃうんだよね。それでちょっとずつ動くのならあんまり害はないんだけど・・・いや・・・あるかな?どっちでもいいか。で、それでまぁずっと動かない場合だけどそこに力がたまっていくわけでしょ・・・発散されないから。で、あるとき限界を迎えて一気にどどどどどどどどどっと動くわけ。そのとき発生する振動というもののエネルギーは膨大で・・・まぁプレートの質量とその間に発生する摩擦力とかまぁそんな感じでイメージするととにかくすごいってのはわかるでしょ?その振動が地震。プレートで地震が起きる場合ってのはもうひとつあってね。それは海溝であるんだけど・・・・こっちは有名だからいいかな」

「・・・・・説明に疲れたか」

「あたり~

「・・・・・っていうかお前口下手すぎるぞ?多分僕以外の奴はわからん」

「へぇ~俺たちってすごいね~」

「・・・・・・・・・・・・・・天然か?」

「何のこと?」

「いや・・・・天然だな・・・というか結局何の話をしてるのか忘れたんだが」

「俺も忘れた~」

「なら黙れ・・・・とりあえずウザい」

「そんなっ!!」

まったく・・・・貴重な時間を無駄にしてしまった・・・どうでもいいといえばどうでもいいがそれでもやっぱりちょっとばかり気にしてしまうのは人であることの性であろうかと考えてしまう。まったく・・・・疲れる毎日だ。

[ つづく]