[home] ONLINE BREAKER > MORE > 小説 > 新太郎と愉快な仲間たち > 第二回更新分 [mirror]

「ここは天国か!?」

いえ、橘楓の罠です。罠のコンボです。イッツショータイムです。

花畑の中から飛び出た橘楓が叫びます。

「ぎゃらくし~~~!!」

しかし、世の常は無常・・・・いえいえ無情なもので。新太郎はすでに通り過ぎた後でした。

ちなみに橘楓はこの花畑に隠れていたわけではなく、昨夜遅くまでこの道に花を植えていたために眠ってしまっただけである。かなり熟睡していたが新太郎の叫び声によって起こされたようである。起きて第一声目が

「ぎゃらくし~~~!!」

はどうかと思うが・・・・・。どうやら先ほどまで銀河を夢見ていたらしい。

さて新太郎はすでにお花畑を抜けています。後方から聞こえてきた

「ぎゃらくし~~~!!」

により新太郎は大体の状況を察していました。

「つまり奴は連日連夜徹夜して作った投影機が完成した記念とかそんな理由で昨日の夜からあそこで花を植えていたわけか・・・・しかも途中で力尽きたと。ワンパターンな・・・・・。そもそも今日僕が通らなかったらどうするつもりだっただよ・・・・・。まぁ僕の予想では僕が通るまで花の世話を続けたんだろうけど・・・・・ってかあの花はどこから持ってきたんだ?」

・・・・・・声だけでそこまでわかりますか。付き合い長いですね。

というか橘楓・・・・・遅刻決定。

「さらば我が友よ・・・・お前の犠牲・・・むしろ妨害はきっと・・・・・・忘れるよ」

何を言いたかったのでしょう。そうやって考えながら進むうちに新太郎の通う学校が見えてきました。腕時計を見ると八時四十八分・・・何とか間に合ったようです。全く速度を落とさずに急角度で道に面した校門を通り抜け目指すは自転車置き場・・・・・・・の先にある巨木。この巨木はこの学校の設立と同時に植えられたものでなかなか歴史のある木です。そして新太郎の教室はこの木に窓から手を伸ばして触れるほど近いところにあります。チャイムが鳴り始めました。どうやら腕時計が狂っていたようです。時間的余裕のあるときならば安全に木をするすると登っていくのですが今日は時間がありません。さぁどうする新太郎?

「漢は黙って・・・・・ワンコイン」

意味不明です。

「我は前に進む!!」

つまり自転車で登ると。

「ざっ辛いと!!」

カタカナに直してください。

「自分眼バレー!!」

一体どんな競技でしょう。

「あ」

木の幹に到達する直前でウィリー状態にまで前輪を持ち上げ・・・・・体を引き絞って放つ!!・・・・幹に垂直に着地。そのまま物理法則を多数無視して上昇!!そして枝で方向修正!!その勢いのまま空を飛び新太郎の教室の開いた窓まで飛ぶ!!すでにチャイムは最後の余韻のみ!!果たして新太郎は間に合うのか!!

次回新太郎向きをちょっと間違えて血だらけに・・・の巻に続く・・・・わけはなく。

「自転車パージ!!」

教室に自転車を持って入るわけにはいけないとさすがに感じたそうです。こういうことを何度もやっているのか・・・・自転車は頑丈に補強され校舎の壁にはくっきりと跡が残っています・・・・失敗してついた誰かの血の跡が。

「とどけぇ~~~」

受身を取りつつ教室の床を転がり・・・・・教室の一番後ろ右端の席へと向かいます。そして・・・・

「着席完了」

その転がった勢いのまま着席・・・・右側にある教室の後のドアがちょっとやばそうな音で軋んだけど気にしなーい気にしなーい。おりしもチャイムは鳴り終わったところ。クラスメートたちはいつもの事と不干渉です。

「がらがらがら~~~」

声で音を出しながら入ってきたのは橘楓によく似た人物・・・・・橘遼でした。

「楓はいるか~~~ん・・・・・昨日帰ってこなかったから教室で徹夜してるものだと思ったんだが。まぁいないならそれでいい。いてもウザイだけだ」

教師の台詞でしょうか?

「出席~~~とるぞ。・・・・ん~~~~楓以外いるな。ふむ連絡事項は・・・・ない。と思うぞ私は」

気になる台詞です。

「遼さん・・・・忘れた?」

その台詞が気になった生徒その一・・・・新太郎がそう発言します。

「ん・・・・・忘れるという行為は人間にとって大事だぞ~~~。まぁ私個人の見解としては忘れるという行為はただ思い出せなくなるということなわけだが。記憶は失われるものではないよ」

「・・・・・書類」

ボソッと言葉を追加する生徒その二・・・・菊川流。菊川流に向かっていつの間にか手にしたチョークを投げる橘遼。それを残像でよける菊川流。外れたチョークは後ろの席の生徒の足をかすめ床に突き刺さります。

「熱っ」

チョークがかすめた足をさすりながら菊川流の後ろの席の生徒が思わず声を漏らします。どうやら赤熱していたようです。

「・・・・残念」

どうやら恒例行事のようです。その証拠に床に突き刺さったチョークの周りには同じように出来た穴が多数あります。やっと冷えてきたように見えるチョークを引き抜く・・・・先ほどチョークがかすめた生徒・・・・新川実。新川実がチョークを軽く振るとチョークの表面が剥がれ落ち中から現れたのは・・・・・・先のとがった鉄の棒でした。形としては棒手裏剣に似ています。

「当たったら・・・・・・足が捥げてましたよ・・・・・・・・殺す気ですか先生」

といって棒手裏剣()を投げ返す新川実。こういう事になれているのか投げ方は堂々としたものです。そしてまっすぐ飛んできたそれをたやすく片手で掴み取りながら

「貴重なチョークをまた失ったではないか・・・・そのうち請求書を送る」

といって腰のポケットに棒手裏剣()をしまい・・・・・そこから新しいチョークを取り出し・・・・・袖口から覗く射出口にセットします。どうやらそこに常に一発装備しているようです。また赤熱していたのはここからの射出が原因だったようです。・・・・というか投げたんじゃなかったんだ・・・・・。

「楓の発明もたまには役に立つな。だが狙いが甘い・・・・・それと速度と装弾数の問題もある。あとで意見書と提出してやろう」

どうやらまだ試作品のようです。・・・・・・橘楓は橘遼の武器開発を担っているのでしょうか?

「・・・・くくっ・・・・何より貴様が未熟也」

「うるさいよ!!」

再び袖口の射出口からチョークを射出する橘遼・・・・しかし腕を菊川流に向ける前にどうやら誤作動してしまったようです。危険です。チョークはまっすぐ後ろの座席・・・・橘遼から見て左寄りに飛んでいきます。

「・・・・こっち!?」

当たりです。しかしながらさすがに直撃コースではありません。このままだと約一メートル先をかすめて教室の後のドアに突き刺さります。この場合公共物破損で訴えられます。というか公立高校だったのか。(私立の場合は器物破損です)そもそも床はいいのでしょうか?

「がらがらがら~~~」

そしてその壊される予定のドアを橘遼と同じモーションで入ってきたのは橘楓でした。

「でかした楓!!これで修繕費は要らん!!」

チョークは橘楓に直撃コースです。顔面直撃です。チョークは赤熱しておりその速度は一メートル先をかすめただけの新太郎がちょっとびびるくらいです。あたったらとりあえずあっさりと死ぬでしょう。

「・・・・・ぁ」

今さらですが反応したようです。

「新くん置いていくのはひどいよ~~」

・・・・新太郎がお花畑で目覚めた橘楓を置き去りにした事を言っているのでしょうか?

「あと人に向かって撃つやめてって言ったでしょ・・・・・遼」

何気にあっさり避けています。さすが開発者。弾道を見切っています。・・・・・・ですが橘楓の後方から窓ガラスの割れる音が響いてきました。公共物破損です

「・・・・・・次弾装填・・・・・年上を呼び捨てにするのはいけないよ?楓」

袖をまくり・・・・腕につけられた射出装置をあらわにし・・・・そこに手を沿え橘楓をしっかり狙い・・・・・さらに手には次に撃つためのチョークを握りながら橘遼はにっこりと笑いかけます。

「前言撤回・・・・・・人に撃つのはやめましょう、先生」

「すでに遅い」

次々にチョークをセットしながら橘遼は撃ち続けます、もともと小さな音であった射出音が大きな音で連なるほどに。どうやら袖が消音効果を生み出していたようです。

「わっちょっまっかっさ・・・・マッカーサー」

わりと余裕です。

「速度あ~っぷ

どことなくうれしそうです。

「ちょっと・・・本気で・・・・熱っ・・・・・・かすった・・・・・かすったってば!!死ぬ!!死ぬってホントに!!」

「ならばそのまま死ね

血も涙もありませんね。どうやら撃ち続けるのが面白くなってきたようです。

「ひぃぃ・・・・新くん今更だけどごめんね」

「・・・・・・まぁそのうち弾(チョーク)が切れるだろ?って何に対して謝ってやがる・・・・・気持ち悪い」

ひどい言い様です。ですが橘遼に関しては新太郎の言う通りでした。どこにあったのだろうというぐらい大量のチョークを撃ち終えた橘遼はしばらく射撃体勢のまま何が起こったのかわからない様子でしたが、数秒後に再起動。とりあえず視界に入った実際に授業で使う中に棒手裏剣なんて仕込まれていない普通のチョークをセットして撃ってみましたが・・・・強度が足らず射出機構内で砕け、結果生まれたのは煙幕でした。

「・・・・・・さらばだ!!」

逃げました。そしてその場に残されたのは突然の煙幕で咳き込む新川実を筆頭とした教室前半に座った生徒となぜか無反応の菊川流・・・・・これはやはり菊川流真髄派の神髄なのでしょうか?そして後ろのドア付近でうずくまり幼時退行を起こして泣き出しそうな橘楓とそれに見向きもしない新太郎をはじめとする傍観者たちでした。

一限目の先生である橘遼がエスケープしてしまったのでそのまま自習となってしまいました。

「新くんキミは親友であるこの橘楓を見捨てたのかい!?」

ようやく幼児退行から帰ってきた橘楓が新太郎に詰め寄っています。

「橘・・・・・・うるさい」

「そもそもなんで遼は『遼さん』で俺は『橘』なんだよ!!おかしいだろ!?」

「だって遼さん橘って呼ぶとお前と一緒だからいやだって・・・・」

「先生と呼べよ!!」

「ぁ・・・・・いや・・・・先生とね?呼ぼうとしたよ?僕は」

「間が不自然なんだよっ!!」

まさしく不自然。真実はこうである。新太郎は橘遼を先生と呼ぼうとしたが呼び捨てでいいと言われ、じゃあ橘と呼んだところ生意気だ橘楓と同じだ・・・・・と絞められて遼と呼べといわれてさすがにそれは無理だということで遼さんに落ち着いたのである。まぁよくある会話かな?間が不自然だったのはそのときの記憶が頭をかすめたからである。

「じゃぁ今からでもいいから楓って呼んでくれよ!!」

「めんどい」

「ムキー!!」

橘楓ちょっと不憫である。

[ つづく]