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作品「新太郎と愉快な仲間たち」著・芳多聡(ほーたす) 新太郎は高校生である。一人暮らしをしている。新太郎は一人っ子である。・・・・そして新太郎の周りは変人ばかりである。 「ぁ・・・・・あ?朝?」 朝七時、新太郎はいつもこの時間に起きる。そして必ず独り言をいう。 新太郎の家は単なる一軒家である。駅まで歩いて五分。主要道路に徒歩で出るのもほぼ同じ時間を要する。立地条件はそれなりにいい・・・・・・いいがそんなことはお構いなしに新太郎の通う高校は遠い。自転車で約一時間半。始業は遅めの八時五十分。それまでに教室に入っていなければ遅刻である。しかしながらこの新太郎、遅刻を一度もしたことがないという輝かしい記録を持っている。・・・・・・・まぁ新太郎の性格ならば当然のことではあるが。 「今日の着替えはどこかな~どこかな~♪・・・・・ん~・・・・あ?」 新太郎は動作をするとき必ず独り言をいう。新太郎の癖である。 「今日の着替えはせんたくちゅ~~~~♪・・・・・それは日本語的におかしいね、うん、おかしい」 どうやら着ていくつもりだった服が洗濯中だったようである。一人暮らしにありがちだ。 「ん~~~~いまいちあわないけどこれ着てくかね~?って誰に聞いてるんでしょう僕は?」 独り言にありがちな一人突っ込み。 「今何時~そうね体育会系~♪」 適当な替え歌である。替え歌を歌いながら着替え終える・・・・変なところで器用である。 「今何時~~そうね体育会系~~♪今何時~~そうね体育会系~~♪今何時~~っていつまで続けるきだっつの!・・・・・それで今何時よ?・・・・・・・・・・・・・・・・ん~いわゆる七時半ジャスト?」 普通に考えると遅刻確定。だが頑張れば間に合う時間でもある。 「遅刻か・・・・・・・・・刻に遅れるから遅刻・・・・・・。ふむ。漢字というのは奥が深いねぇ・・・・・・・どうでもいいけど。ってかどうでもいいならいうなよって感じだね。さて今何時?七時三十二分・・・・・・ふむ。遅刻確定。ん・・・・・休むか」 前述の遅刻ゼロの理由は新太郎の性格にある。新太郎の性格はわかりやすくいうと面倒くさがりや、一言でいうと怠惰。なんにせよ怠け者ということである。新太郎は学校に行くときの場合、家をでるのが七時三十五分以降になるときは休むと心に決めているのである。今日の場合は食事の時間等を考えた場合三十五分以降になると計算したため休むことに決めたようだ。またその計算では朝食は基本的に五分と計算されるので三十分までに着替えていない場合、新太郎は休むことが多い。 「休むと決めたら休む~~~。今日は休み~だからまずは腹ごしらえ~」 新太郎は朝食を欠かさない。これは新太郎の面倒くさがりやな性格を越えて習慣化した数少ない例である。 「今日の朝食はパンと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジャム?・・・・ジャムありますか?ないですか?ありますか?ありますた。・・・・いえてねぇし・・・・・。僕は発音が悪いんだよね・・・やっぱり喋り始めたのが遅かった影響かな?」 新太郎は三歳ごろにはじめてしゃべったという。その関係か言語関係の能力に乏しい。 「ところで~これで今月何回目の休みかな~?う~・・・・ん約三回目ということで。ってか約いらねぇよ」 ジャムをつけたパンを食べながらの独り言・・・・行儀が悪い。 「ん・・・・・・・完了」 食べ終わったようである。 「さて・・・・・今何時でしょう?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・七時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三十四・・・・・・・・・ぇ」 パンとジャムだけの食事であったために二分で食べ終わったらしい。 「これは・・・・・あれだね・・・・・・・見て見ぬふりをするか・・・・・・・・・それとも今見たことを忘れるか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どちらもやることは一緒です。」 と少々慌てながら玄関へ向かう。結局新太郎は、自分のルールを守ることを優先したらしい。 「いけーいけーまいかー・・・・まいばいしくるー流星号~~~~銀河の果てまで行くのに一光年~~~それは距離でっせ~~~~・・・・・・・んげ」 即席の歌。通学その他に愛用の自転車にまたがり・・・・・・・・・・・タイヤの空気が抜けていたそうな。 「ぁ~あ~~~~果ってしなっいぃ~~~~~~~~夢を追~い~続けぇ~~~~~~~てぇ~~~~~~~~~~♪」 さすがにパンクかどうかのチェックはしてられないようで。ちょっとキレながら歌いながら空気を送り続ける新太郎。 「さすがに週に八回も空気が抜けてると焦るなぁ?」 ・・・・・・・。一週間=七日・・・・・・七日に八回。・・・・・・・。 気を取り直して出発。ふとみた時計の長針は、 「八・・・・・・ってすでに四十分かよっ!!」 どうやらこのままでは初遅刻のようです。 「全力前進!!前へ~すすめっ!!」 最初から飛ばします・・・・およそ時速三十キロ。 「前方に信号発見・・・・・・選択肢一無視、選択肢二すでに無視して通りすぎたぁぁぁぁぁ!!」 交通法規は守りましょう。 「な・べ・やか~~~ん!!」 どうやら脳に酸素が行き届いてないほど頑張ったらしい。・・・・・人の名前を大声で叫びながら進むのはやめましょう。(いろんな意味でやばそうです) そうこうしてるうちに・・・・・走行しているうちに? 「住宅街をやっと抜けた~~~~これから川を~~~下りま~~~~~す」 この独り言をやめればそこそこ体力の温存が出来るのではなかろうか? 「はひぃふひゅぅ・・・・・・頑張れ・・・・・自分」 川沿いにある堤防に上るときも喋り続けたために息が切れたらしい。 「ふぅ・・・・・・・・ぁ~る~はれた~ひ~る~さがり~~~♪」 新太郎の癖その二?やけくそになってくるとドナドナを歌いだす!! 「今・・・・何・・・・時・・・・・八・・・・・時・・・・・・二十げふぅん・・・・・」 新太郎の現地点は登校路のおよそ三分の一地点。ですがここから下り坂が見渡す限りに続きます。まだまだわかりません。 「うぃ~~~・・・・・それでは・・・・・第二エンジン・・・・・・着火・・・・・・なんとなくおかしいけど」 何となくではなくそれはおかしいですよ? 「力を~~~力を~~~~~~!!今こそ我に力を!!」 なんだかどこかの漫画の世界の闇の宗教のようです。激しく祈り始めました・・・・・。 「今~~私の~~~願~~いごとが~~~叶うな~~~らば~~~~♪・・・・・・・止めて欲しい」 つまり勢いがつきすぎてやばいと。 「なんだか・・・・・・今堤防の下を通ってる乗用車を追い抜いた気がする・・・・・」 『気がする』ではなく事実追い抜きました。現在時速六十キロ(推定)。 なんだかんだやってるうちに学校が見えてきました。川の堤防の逆側を走っている自転車が見えます。おそらく同じ高校へ向かう人のものでしょう。高校は川の向こう岸にあります。 「あぁ~~~麗しの我が高校よ・・・・・さらば」 止まりきれずに通り過ぎました。どうやらブレーキが磨り減っていて曲がるべきところで減速しきれず曲がれなかったようです。 「さ・ら・ばぁぁぁぁぁぁ!!」 道行く人が振り返ってみています。 「だがしかぁ~し!!我に秘策あり!!」 この坂の終わりには大きく傾斜した橋があります。普通の速度では危険すぎて渡れませんがこのように速度が出ているときは・・・・・。 「確実に渡れるのだよ!!」 だんだん独り言が脈絡なくなってきています。 「・・・・・・・・あ・・・・・い~!?」 その時新太郎の目に入ったのは進入禁止の看板・・・・・そりゃそんな危険な橋通行止めにもなりますよ・・・・・・。 「うわっく・・・・・・あ?」 その時道行く人々には新太郎が高速で進入禁止の看板にぶつかるビジョンが見えたはずです。事実恐ろしさに目を瞑っている新太郎にも見えました・・・・・。 ですがこの時驚愕の事実発覚!!実はこの看板は新太郎の友人である橘楓の仕掛けた罠だったのです!!この看板はスモークをスクリーンにする事によって生まれたフェイクだったのです!!新太郎危うし!!(・・・・・・ちなみに『・・・・あ?』の時点ですでに通過しています) 目を開けた新太郎が見たのは色とりどりの花が咲き誇る一面のお花畑でした。 「ここは天国か!?」 いえ、橘楓の罠です。罠のコンボです。イッツショータイムです。 [ つづく] |
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